「本当の自分がわからない」と思ったときに、診断でできることとできないこと
探しても見つからないのは、隠れているからではなく、場面ごとに違う自分が全部本物だからかもしれません。診断が助けになる部分と、ならない部分の話。
職場での自分、友達といるときの自分、家族の前での自分。どれも少しずつ違って、どれが本当なのか分からなくなる——これはかなり多くの人が持つ感覚です。診断を探す動機として、いちばん切実なものかもしれません。
先に結論を書いておきます。診断で「本当の自分」は見つかりません。 ただ、探し方の見当をつけることはできます。
場面ごとに違うのは、演じているからではない
まず疑ってほしいのが、「本当の自分がひとつあって、それ以外は演技だ」という前提のほうです。
職場で丁寧に話す自分も、友達の前でだらける自分も、どちらも同じ人が出しています。環境が違えば出力が変わるだけで、演技をしているわけではありません。 水は器の形になりますが、どの形が本物の水かという問いは成り立ちません。
「本当の自分がわからない」という悩みは、多くの場合探し方の前提のほうがずれています。 見つからないのではなく、最初から一つではなかった、という可能性が高いのです。
それでも共通しているものはある
ただし、場面が違っても変わらない部分はあります。診断が見ているのはそこです。
- 動き出すのが速いか、読み切ってから動くか
- 人といると回復するか、ひとりでないと回復しないか
- 限界が外から見えるか、見えないか
これらは職場でも家でも、だいたい同じです。丁寧に話すかどうかは環境で変わりますが、三日連続で人と会ったあとに消耗するかどうかは変わりません。
診断が「当たった」と感じられるのは、たいていこの層に触れたときです。逆に、性格を良い悪いで語る診断が響かないのは、そこが環境で変わる層だからです。
診断が助けになる場面
言葉が見つからないときに効きます。
自分の状態をうまく説明できないと、人に伝えられず、対策も立てられません。「休むのが下手」だと思っていた人が、実は「走っている間は減っていることに気づけないだけ」だと分かる。この二つは似ていますが、対処法がまったく違います。前者は意志の問題、後者は仕組みの問題です。
気づけないなら、気づく前に休む予定を先に入れておけばいい。 原因の言葉が変わると、対策が具体的になります。
診断が助けにならない場面
何をしたいのか分からないというタイプの悩みには、診断は効きません。
やりたいことは性格から導けません。実際にやってみて、続いたかどうかでしか分からない種類のものです。診断結果を読んで進路が決まった人を、私は見たことがありません。
しんどさが続いているときも、診断より先にやることがあります。診断は状態を言葉にするだけで、状態そのものは変えません。眠れない日が続いている、朝起きるのがつらい、といったことが何週間も続いているなら、診断より人に話すほうが早いです。
使い方をひとつ
診断結果を「自分はこうだ」と受け取るのではなく、「まわりからはこう見えているらしい」と受け取ってみてください。
そう読むと、次の一手が具体的になります。見えている姿が実際と違うなら、出す材料を変えればいい。合っているなら、そのまま続ければいい。
そして、変わらないでいい理由が手に入ることもあります。何年も同じことを続けている人が、飽きっぽくないのではなく、そういう型なのだと分かる。変わらないことを責めなくていいと分かるのも、ひとつの結論です。